ネタバレは極力しないように書いています。
時間が大変なことになっちゃう普通の学園モノADV
スタジオ緑茶5作目、片恋いの月 シナリオ・氷雨こうじ
「物語」
物語の舞台は十六夜市(いざよいし)。二百年の歴史を抱いた古都。
レトロな建物の間を路面電車が走り、商店街から角一つ曲がるとひっそりと神社やお寺が佇む古い町。
道は狭くて入り組んで、車がすれ違うのも一苦労。住む人の心もそれに似て、新しい物や者を容易に受け入れない。
少しばかり不便で頭の堅い町だけど、そこが良い、と古き日本を愛する観光客がぽつりぽつりと訪れる……そんな町です。
主人公、常磐晴彦(ときわ はるひこ)はこの土地で生まれ育ったごく普通の学生さん。
地元の十六夜学園に通う二年生、部活は「民俗風俗研究部」。十六夜市の空気に溶け込む古いモノやコトを集める、歴史的情緒あふれた……。
もとい。
地元の歴史や言い伝えを調べるだけの、地味~な文化部の副部長をやっています。
夏休みの終わりとともに、年に一度の晴れ舞台、文化祭の準備に向けて気合いの入る今日この頃。
もともと十六夜市と言うのは古い町なだけあってお祭り好きな土地柄で、たかだか学校の文化祭ですらえらく盛り上がってしまうのです。
……まあ、やってることは去年と同じ。写真と文章の展示発表と小冊子の発行だけなんですが、とにかく気分だけは盛り上がっています。
民俗学の基本は足だ! 体力だ! と、先頭に立ち、やる気満々でフィールドワークに乗り出す晴彦くん。
わらわら、きゃいきゃい楽しげに後をついてく部員たち。
手分けして集めた話や資料を、駄菓子かじってお茶すすりつつまとめて行くうちに……。
ふと探り当てた身近な不思議。
どうやら十六夜市には「時間の流れ」に関する神秘的な体験、言い伝えが多いらしい。
過去の情景、時には幼い頃の自分を見てしまう『過去見(うしろみ)』。
とつぜん、周囲の時間が止まったり、逆転する『時惑い(ときまどい)』。
しかも時代が新しくなるにつれ、減るどころかむしろ増えて行く。
「思い違いだよ」
「既視感ってやつ?」
「ただの噂だろ」
「でもこれ、担任の先生から聞いた話だよ?」
「………何かいきなり話が生々しくなってきたな、おい」
この町には、何かがある。
それに気づいた時、おぼろげな過去の夢が。何気なく聞き流していたうわさ話が。
次第に確固たる実体を伴い、あふれだす。昔語りの裂け目から、日々の暮らしの中に。
学園祭の準備をしていたはずが、はたと気づけば時間が大変なことになっちゃって。
あれよあれよと言う間に大混乱のまっただ中!
果たして主人公は。
ヒロインたちは。
無事に学園祭を迎えることができるのでしょうか……。
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学校まで続く長~い坂道を、君と歩く、並んで歩く。
朝は上り、夕方は下る。毎日、その繰り返し。
今日の次に明日が来て、そうして時間が過ぎていく……。
って、信じてたけど!?
瞬き一つするたびに、ゆがんで行く時の歯車。
十六夜の月の下、色のない指先がいざなう時の惑い道。
ほつれた糸の間合いからゆっくりと、見知らぬ時間が顔を出す。
時を隔てて欠ける月は、互いに呼び合い、引かれ合う。
どんなに離れていても。隔てられても。あきらめない。
きっと、君にたどり着く。
すたじお緑茶「片恋いの月」公式HPより
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【シナリオ】
1st Storyと2nd Storyからなる物語で、
2nd StoryがTrueEND。
物語の性質上、メインヒロインは初瀬香津美だが、八島杏子もそれに準ずる扱いとなっている。
1st Storyで語られる、三笠月理(あかり)、榊渚、八島杏奈ルートは、それぞれで完結する。
この物語は、全て2ndへの伏線となっており、各々の置かれた状況を説明するものであったと考えられる。
時惑い、過去見(うしろみ)といった現象がかかわってくる物語が中心で、
個々の問題を解決するんとどまる。
2nd Storyはこの十六夜という土地におこるこういった現象の根本に迫るシナリオである。
ここでは、メインの初瀬香津美、八島杏子を中心に物語が展開する。
このシナリオの良かった点は、謎の提示と解決に至るまでの展開に納得できたことがあげられる。
個別ルートに入っても、ほかのルートとの設定の相違はなく、きちんと、違和感なく描かれている点も評価が高い。
2nd Storyで描かれる、団結して一つの目標に向かって行く様は、恋色空模様にも引き継がれた。
惜しむらくは、メインヒロイン級の扱いながら、八島杏子ルートが存在しない点だろう。
点数25/30点
【グラフィック】
杏奈のCG等一部にに違和感が見られる部分があった。
これはおそらくグラフィッカーの違いによるものと思われるが、見ていて非常に意識された。
それ以外、CG、背景等は彩色もきれいで問題はないと思う。
ワイド画面最初期のゲームだが、それなりに有効に使えてはいたと思う。
点数11/20点
【システム】
良くも悪くも独特なシステム構築のすたじお緑茶らしいものだったといえよう。
セーブ、ロード画面はフォルダ等も作れるカスタム使用だが、個人的には別画面で作ってくれたほうがありがたかった。
シナリオ内での顔アイコンの使い方は流石の緑茶クオリティ。
顔アイコンを使うメーカーは少ない中、非常に有効に使用できているのは評価が高い。
テキストが発言者付近にそれぞれ振られるため、読み辛いという意見もあるそうだが、
自分としてそういう感覚はなく、むしろ誰が発言したかわかりやすくていいと思う。
点数16/20点
【音楽】
曲数自体は多くはないが、一曲一曲が印象に残る。
「BLACK BOX」「BOMB☆LOVER」「mp~refarinmoon」などはいい曲だと思う。
曲を使う位置にも問題はなく、どちらかというと明るい曲のほうが多い。
ちなみにMusicModeでは、「家路」「oklahoma mixer」を聞くことができる。
点数17/20点
【キャラクター】
それぞれキャラクターが立っている。
何人か攻略したくないキャラがいることが多いが、そんなキャラクターがいなかったのは好印象。
マッドサイエンティストのあかりんを一人ください。
あんあんが元気良くてかわいいです。
出流くんとかいい子でいい子でww。
サブキャラもいい味出してます。
魂の露出狂は吹いた。
点数10/10点
計79/100点
【おすすめ度】
これを勧めずに何を勧めるか?というような、自分の中で非常に評価の高い作品。
キャラクターの掛け合いと、メインの物語のかき分けは見事。
飽きることなく最後までプレイできる。
時惑い、過去見といった出来事を通して語られる十六夜の真実をきちんと細かく描写していた。
氷雨こうじは伏線の張り方がうまいと思う。
これが伏線になるのか、ということがあったりする。
何のことなのかは、ぜひプレイして確かめてほしい。
点数92/100点
【総合評価】
点数171/200点
良作。
実は伝記物が好きなんじゃなかろうかと思い始めた今日この頃。
ただ、コンチェルトノートとは違った感じの雰囲気ではあった。
【推奨攻略順】
これを間違えると結構損をします。
つまらなくなるというほどではありませんが、面白味は増します。
1stStory
杏奈・渚・月理ルート
↓
香津美・杏子ルート(選択はどちらを選んでも同じルートに入ります)
↓
2ndStory
Trueルート
1stで、香津美・杏子のルートは最後にやってください。
そのほうが物語は間違いなく面白いです。
今日はこの辺で
では・・・・・・・・。